航空会社のマイレージプログラムに代表されるように、小売、運輸、通信、金融など幅広い業界の企業が、顧客囲い込み・販売促進戦略の一環として、多種多様なポイント制度を導入しています。多くの場合、ポイントは顧客の購入実績に応じて付与され、自社製品・サービスの提供に使用されるほか、制度によっては企業が他社と共同でポイント制度を運営して商品・サービス提供を行うものや、他社ポイント・電子マネーとの交換ができるものもあります。解釈指針を含む財務報告基準では、これらのポイント制度を総称して「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」と呼んでいます。
TFRIC第13号では、顧客がポイントを使用したときに無料または値引きにより商品・サービスを提供すべき義務を、企業がいつ認識し、いくらで計上すべきかについて明らかにしています。当解釈指針で採用している内容を要約すると、以下のようになります。
1. ポイント制度の会計処理としては、初回売上で受領する対価を、@初回売上時に提供した商品・サービスの対価と、A付与されたポイントが使用されることにより将来提供される商品・サービスの対価の2つのコンポーネントに区分し、初回売上時には対価のうち@に相当する金額が収益計上され、Aの金額は将来のポイント使用時に企業がその義務を果たすまで、負債として繰り延べることとしています。
2. 負債をいくらで計上するかについては、初回売上とポイント使用により提供される商品・サービスの公正価値を基に(=売価ベースにて)負債が測定されます。なお、公正価値測定に際しては、付与したポイントが使用されずに失効する可能性を加味します。
3. ポイントを第三者が提供する場合は、収益計上額はエージェントとしての受取手数料部分(付与ポイント相当の対価から第三者への支払分を控除した金額)となり、収益計上時期は、第三者がサービス提供義務を負い、かつ、対価受領の権利を得た時点となります。
附属する「説例」の記述で、より具体的な会計処理例等も示されています。