会計基準「後発事象(EVENTS AFTER THE REPORTING PERIOD)」は、国際会計基準でも第10号として公表されています。
タイ国会計基準としては、2014年改訂版が仏歴2558年(西暦2015>年)1月1日以後に開始する事業年度から発効しています。
2014年版改訂以前の基準は、マザーブレイン月報201年1月号において概説しております。細かな用語等の変更はありますが、2014年版改訂による特に重要な変更はありません。
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なお、中小企業等のための会計基準(TFRS for NPAEs)では、第17章(第315項〜第320項)において後発事象に関する記述がありますが、当基準との大きな違いはありません。
当基準は、後発事象に関して財務諸表を修正するかあるいは注記にて開示しなければならない事項について定めています。目次は以下のとおりです。
目的
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項
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1
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範囲
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2
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定義
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3
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認識および測定
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8
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修正を要する後発事象
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8
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修正を要しない後発事象
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10
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配当
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12
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継続企業
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14
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開示
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17
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発行の承認日
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17
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報告期間の末日の状況についての開示の更新
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19
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修正を要しない後発事象
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21
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発効日
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23
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改訂前基準の廃止
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24
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修正を要する後発事象と修正を要しない後発事象
「後発事象」とは、報告期間の末日>後、財務諸表の公表を承認する日までに発生した有利あるいは不利な事象をいいます。後発事象は、報告期間の末日に存在していた状況を示す事象(修正を要する後発事象)と報告期間の末日後に発生した状況を示す事象(修正を要しない後発事象)の二つに区分できます。
言葉どおり、修正を要する後発事象は財務諸表を修正しなければならず、修正を要しない後発事象は財務諸表を修正してはなりません。修正を要しない後発事象が後発事象の注記対象になる一方、修正を要する後発事象の財務諸表の修正には注記(例えば偶発債務額)の修正を含みます。
具体的な例を挙げますと、報告期間の末日直後の得意先の倒産が貸倒引当金の修正を要する場合は、修正を要する後発事象となるのに対し、報告期間の末日後の災害損失は修正を要しない後発事象となります。
報告期間の末日後、財務諸表の公表を承認する日までに法的に承認され、その財務諸表の期間に対応する支払配当は、報告期間の末日に負債として認識することはできません。
経営者が、報告期間の末日後に企業を清算するか、事業を停止するか、もはやそれら以外の選択肢がなくなる決定をしたとき、企業は財務諸表を継続企業ベースで作成することはできません。この規定は、報告期間の末日後、財務諸表公表前に継続企業でなくなることが確実となったときは、継続企業ベースでの財務諸表の公表は有用性がなくなるという理由によります。
開示
企業は、財務諸表の公表を承認する日と承認を与える機関の名称(例えば、株主総会あるいは取締役会)を開示しなければなりません。
修正を要しない後発事象が、企業の財務諸表の利用者により適切な評価や意思決定に影響を与えるほどの重要性があるときは、企業は修正を要しない後発事象について事象の性質、財務的影響の見積り(見積りが不可能である場合はその旨)を開示しなければなりません。