会計基準「個別財務諸表(SEPARATE FINANCIAL STATEMENTS)」は、国際会計基準でも第27号として公表されています。
タイ国会計基準としては、2015年改訂版が仏歴2559年(西暦2016年)1月1日以後に開始する事業年度から発効しています。
会計基準第27号は、2014年改定版より以前は「連結および個別財務諸表(CONSOLIDATED AND SEPARATE FINANCIAL STATEMENTS)」として公表されていましたが、財務報告基準第10号「連結財務諸表(CONSOLIDATED FINANCIAL STATEMENTS)」が発効されたことにより、連結財務諸表の作成・開示等の定めはこちらに移行され、したがって、個別財務諸表に関する定めのみが残る構成となった経緯があります。。
なお、2014年改定版より前の会計基準第27号「連結および個別財務諸表」は、月報2012年9月号において、また、新設された財務報告基準第10号「連結財務諸表」は、月報2015年3~6月号において概説しております。
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また、中小企業等のための会計基準(TFRS for NPAEs)においては、連結財務諸表に関する記述はなく、子会社株式・関連会社株式等については、以下の規定(第114項)により、原則として取得原価評価することとされています。
((TFRS for NPAEs 第114項)
企業は、市場性のない資本性投資、子会社株式、関連会社株式、ジョイントベンチャーに対する持分を、各会計年度末において取得原価(減損があればその引当額控除後)によって評価しなければならない。
当基準は、企業が個別財務諸表を作成する際の、子会社株式・関連会社株式などの会計処理を含む財務諸表の表示に関する一般的な基準を示したものです。目次は以下のとおりです。
目的
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項
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1
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範囲
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2
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定義
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4
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個別財務諸表の作成
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9
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開示
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発効日および経過措置
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財務報告基準第9号「金融商品」への参照
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19
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会計基準(改訂前版)の廃止
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20
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現在発効しているタイ国会計基準第27号「個別財務諸表」においては、企業が個別財務諸表を作成する場合、子会社、共同支配企業および関連会社に対する投資は次のいずれかにより会計処理しなければならない、とされています。
(1) 取得原価で会計処理。
(2) 財務報告基準第9号「金融商品」にしたがって会計処理(公正価値測定)。
しかしこの論点(企業が個別財務諸表を作成する場合の、子会社・関連会社株式などの評価方法)については、上記のような選択肢のほかに「持分法」が加わるか、あるいは「持分法」のほうが原則的評価方法であるとするかなど、過去において二転三転した歴史があります。タイ国会計基準におけるこの扱いの経緯はおおよそ以下のとおりです。
(a) 「原価法」または「持分法」の選択適用
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(b) 「持分法」が原則的評価方法
↓
(c) 「原価法」または「公正価値測定」の選択適用 ☜ 現在発効中のタイ国会計基準はココです
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(d) 「原価法」または「公正価値測定」または「持分法」の選択適用
国際会計基準においては、さらなる見直しが実施され、2016年1月1日開始事業年度から、上記(d)のごとく「持分法」の適用が可能となっています。
タイ国会計基準においては、タイ会計職連盟のウェブサイトには国際会計基準における上記修正の旨が掲載され、じきに変更されるであろうことが予告されているようですが、現時点で正式にはこの(d)への改訂版は発効されていないようです。