会計基準「資産の減損(IMPAIRMENT OF ASSETS)」は、国際会計基準でも第36号として公表されています。
タイ国会計基準としては、この改訂版が仏歴2559年(西暦2016年)1月1日以後に開始する事業年度から発効しています。
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また、中小企業等のための会計基準(TFRS for NPAEs)では、第9章「投資」の第117項、第10章「有形固定資産」の第136項、および第11章「無形資産」の第182項において資産の減損に関する記述がありますが、当基準との大きな違いは以下の2点です。
(1)減損会計適用を判断する際の「兆候」の重大さ
TFRS
for NPAEsでは、適用を判断する基準は「資産の価値が永久に(PERMANENTLY)下落する兆候がある場合」とされています。会計基準第36号「資産の減損」(フル版)では、各々の報告期間の末日に資産が減損している兆候の いずれかが存在する場合に回収可能価額を見積もるとされています。両者を比較すると、中小企業等のための会計基準においては実際に減損会計を適用しなくてはならない局面は限定的であると考えられます。
(2)減損会計適用時の「回収可能価額」の測定について
TFRS
for NPAEsでは、回収可能価額の測定は、売却費用控除後の予想売却価額(高いコストをかけない信用できる見積売却価格、不動産鑑定価額などを入手する必要はない)にて行うことができるものとされています。会計基準第36号「資産の減損」(フル版)では、公正価値または使用価値のどちらか高い方を基礎とするとされています。両者を比較すると、中小企業等のための会計基準においてはコストや労力の面で中小企業への配慮がなされているようです。
当基準は、主として有形固定資産や無形資産において減損による評価減を認識するための基準です。目次は以下のとおりです。
目的
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1
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範囲
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項
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2−5
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定義
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6
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減損している可能性のある資産の識別
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7−17
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回収可能価額の測定
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18− 57
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耐用年数を確定できない無形資産の回収可能価額の測定
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24− 27
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処分コスト控除額の公正価値
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28− 29
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使用価値
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30− 57
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減損損失の認識および測定
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58− 64
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資金生成単価とのれん
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65
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資産が所属する資金生成単位の識別
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66− 73
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資金生成単位の回収可能価額および帳簿価額
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74− 103
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資金生成単位の減損損失
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104− 108
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減損損失の戻入れ
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109−116
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個別資産に係る減損損失の戻入れ
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117− 121
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資金生成単位に係る減損損失の戻入れ
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117− 121
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のれんに係る減損損失の戻入れ
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122−125
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開示
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126−133
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のれんまたは耐用年数を確定できない無形資産を含む
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134−137
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資金生成単位の回収可能価額の算定に用いた見積もり
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経過措置および発効日
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138− 140
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改訂前基準の廃止
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141
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付録
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A 使用価値の測定における現在価値技法の利用
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B 会計基準第16号の修正
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C のれんおよび非支配持分のある資金生成単価の減損テスト
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